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最高裁判所第二小法廷 昭和49年(あ)1433号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人梅田満の上告趣意は、判例違反をいうが、原判決がなんら判断を示していない事項につき判例違反をいうもので、適法な上告理由にあたらない。

なお、記録によれば、被告人は、公安委員会の運転免許を受けないで、第一審判決第一記載の日時・場所において、同記載の自動車を運転中、同判決第二記載の日時・場所において法定の最高速度(六〇キロメートル毎時)をこえる九〇キロメートル毎時の速度で同自動車を運転し、同所付近において速度違反の取締りにあたつていた警察官に現認されて停止を求められ、一旦減速して徐行状態となつたが、自己の無免許運転の事実が発覚することをおそれて加速して逃走し、同判決第三記載の日時・場所において、法定の最高速度(六〇キロメートル毎時)をこえる一〇二キロメートル毎時の速度で同自動車を運転したことが認められるから、被告人につき、同判決第二、第三の二個の速度違反の罪が別個独立に成立し、これらの罪と同判決第一の無免許運転の罪は、刑法四五条前段の併合罪の関係にあるとした第一審判決の判断は、正当である。

よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(小川信雄 岡原昌男 大塚喜一郎 吉田豊)

弁護人梅田満の上告趣意〈略〉

〔参考〕第一審判決の罪となるべき事実

被告人は、

第一、公安委員会の運転免許を受けないで、昭和四八年八月二一日午前六時二四分ころより同日午前六時三〇分ころまでの間、滋賀県甲賀郡信楽町牧地先より大津市田上大鳥居町地先に至る間の路上において、軽四輪自動車を運転し、

第二、前同日午前六時二四分ころ、前記信楽町牧地先路上において、法定の最高速度(六〇キロメートル毎時)をこえる九〇キロメートル毎時の速度で前記自動車を運転し、

第三、前同日午前六時三〇分ころ、前記大津市田上大鳥居地先路上において、法定の最高速度(六〇キロメートル毎時)をこえる一〇二キロメートル毎時の速度で前記自動車を運転し

たものである。

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